TradingViewで相関係数を分析する方法を知りたい
本記事ではこのような疑問に答えます。
相関係数は各通貨ペアの相関関係を示す非常に便利なインジケーターです。
TradingViewでは、相関係数がデフォルトのインジケーターとして搭載されています。
MT4やMT5では相関係数がデフォルトで搭載されておらず、インジケーターをダウンロードしなくてはいけません。
相関係数は環境認識に使えるのはもちろん、実際のトレードに活かすこともできます。
そこでこの記事では、TradingViewで相関係数を分析する方法を解説していきます。
FX初心者の方のために、そもそも相関係数とはいったいどのようなものなのか、そして相関関係が強い通貨ペアの具体例についても触れていますので、ぜひ最後までご覧ください。
- TradingViewで相関関係を分析する方法
- 相関係数をトレードに活かす方法
- 相関関係が強い通貨ペア
TradingViewで相関係数を分析する方法
TradingViewで相関係数を分析するには、まずはインジケーターを表示させましょう。
インジケーターの表示方法や使い方、そもそも相関係数とは何なのかについて解説していきます。
相関係数とは
FXの通貨ペアやCFD銘柄は、様々な要因から他の銘柄と同じような動きをしたり、全く逆の動きをしたりすることがあります。
それら銘柄同士の相関関係を可視化したものが相関係数です。
次のチャートはドル円(USDJPY)のチャートに、相関係数を表示させたもので、相手の銘柄はユーロドル(EURUSD)を選択しています。
相関係数は-1から1の間の値で表示され、1に近づくほど正の相関関係が強く、-1に近づくほど逆の相関関係が強いことを表し、0は相関関係が無いことを示します。
つまり上の場合で言うと、相関係数が1に近い局面ではドル円とユーロドルが共に同じ動きをし、相関係数が-1に近い局面では、どちらかが上昇すれば、一方は下落するというように逆の動きをしているということです。
「正相関関係=互いに同じ動きをする」
「逆相関関係=互いに逆の動きをする」
ということですね。
TradingViewで相関係数を表示させる方法
TradingViewで相関係数を表示させるには、チャート画面上部の「インジケーター」をクリックします。
検索窓に「相関係数」と入力するか、インジケーターをスクロールして、CC(相関係数)を探し出してクリックしましょう。
「CC」=「correlation coefficient」=「相関係数」の意。
相関関係を確認したい銘柄を入力します(デフォルトは「GOOG」になっています)。
EURUSDやGOLDのように英語で銘柄を入力します。
ドル円やユーロ円と入力しても何も表示されませんので注意しましょう。
GBPJPY(ポンド円)の相関係数が表示されました。
この時のドル円とポンド円は、正の相関関係が非常に強いことがわかります。
なお、設定から銘柄を変更することができ、相関係数の対象期間の設定やデザイン、色などの変更も可能です。
TradingViewの相関係数の便利な使い方
相関係数を表示する際に、チャートも同時に表示させることで、2つの銘柄を比較しやすくなります。
TradingViewの無料版の場合、チャートを分割して表示させることはできませんが、チャートを重ねて表示させることは可能です。
チャート上部のアイコンから進み、重ねて表示させる銘柄を入力しましょう。
ラインチャートが重ねて表示されたのがわかります。
上のチャートでいうと、ドル円(USDJPY)のローソク足にポンド円(GBPJPY)のラインチャート、そしてポンド円(GBPJPY)との相関係数が表示されている状態です。
これにより、2つの通貨ペアの相関関係が見た目にもわかりやすくなります。
なお、TradingViewの有料版になると、チャートを重ねて表示できるのはもちろん、チャートを最大8分割までできます。
有料版でチャートを分割表示させるには、チャート右上のアイコンをクリックしてください。
画面のレイアウトを選択します。
ちなみにシンプルな2分割だと以下のような感じです。
上のチャートでは、左にドル円(USDJPY)チャートとポンド円(GBPJPY)との相関係数、右にはポンド円(GBPJPY)チャートとユーロドル(EURUSD)との相関係数を表示させています。
このように有料版だと様々なカスタマイズが可能です。
ちなみに、TradingViewの料金プランによる主な機能の違いは以下の通りです。
TradingView料金プラン | Basic | Pro | Pro+ | Premium |
---|---|---|---|---|
金額 | 無料 | 年間155ドル | 年間299ドル | 年間599ドル |
画面上に分割して表示できるチャート数 | 1 | 2 | 4 | 8 |
チャートに表示できるインジケーターの数 | 3 | 5 | 10 | 25 |
一度に設定できるアラートの数 | 1 | 20 | 100 | 400 |
カスタム時間足の設定 | × | 〇 | 〇 | 〇 |
秒足の表示 | × | × | × | 〇 |
出来高プロファイル | × | 〇 | 〇 | 〇 |
リプレイモードの使用 | 日週月足 | 全て | 全て | 全て |
ヒストリカルデータのダウンロード | × | × | 〇 | 〇 |
スポンサー広告の有無 | 有り | 無し | 無し | 無し |
他にもあるTradingViewで相関係数を示すインジケーター
TradingViewではデフォルトのインジケーター以外にも、ユーザー考案のインジケーターがコミュニティスクリプト内で多数公開されています。
相関係数を示すインジケーターも多数あり、おすすめなのは以下の3つです。
- Correlate 3
- Correlation overlay
- Correlation Matrix
「Correlate 3」は、3つの銘柄の相関係数を表示できるインジケーターです。
このように、チャートの銘柄とその他3つの銘柄の相関関係が視覚的にわかりやすく表示されます。
複数の銘柄の相関関係を確認したい方にはおすすめのインジケーターです。
「Correlation overlay」は、逆相関関係が一目でわかるインジケーターになります。
上のチャートは、ドル円のチャートに「Correlation overlay」を表示させ、ユーロドル(EURUSD)を設定したものです。
逆相関関係になっている局面では、ローソク足の背景がハイライトされ、ドル円とユーロドルが逆に動いているという意味になります。
見た目にもわかりやすく、FX初心者の方にもおすすめですね。
「Correlation Matrix」は、7つの銘柄の各相関係数を表示するインジケーターです。
正相関関係が高いほどラベルの色が濃い青色になり、逆相関関係が高いほどラベルの色が濃い赤色になります。
多くの銘柄の相関関係を確認したい方にはおすすめのインジケーターです。
ここであげた3つのインジケーターは、いずれも無料で利用できるので、気になるものがあった方は試してみてください。
インジケーターの検索窓にそれぞれのインジケーター名を入力すると表示できます。
TradingViewの相関係数をトレードに活かす方法
相関係数は各銘柄の相関関係を示すインジケーターです。
そのため、どちらかというとエントリータイミングを計るというよりも、環境認識やトレードプランを立てる時に役立つインジケーターになります。
ここではそんな相関係数をトレードに活かす方法を見ていきましょう。
正相関関係の銘柄を先行指標として用いる
相関係数で正相関関係が強くなっている銘柄は、トレードプランを立てるのに役立ちます。
例えば、日本人が多くトレードするドル円をはじめとしたクロス円通貨ペアは、円が絡んでいるということもあり、互いに正相関関係になりやすい傾向があります。
こうしたもともとの傾向と、実際の相関係数の値を用いて一方の銘柄を先行指標としたトレードプランの策定が可能です。
上のチャートは、ドル円のチャートに豪ドル円(AUDJPY)の相関係数とラインチャートを重ねて表示させたものです。
非常に強い正相関関係であることがわかり、このような銘柄同士では一方を先行指標として、例えば次のようなトレードプランを立てることができます。
オセアニア時間で豪ドル円が上昇し、なおかつ相関係数も高い数値が出ているので、東京時間のドル円はロング目線でエントリータイミングを待つ。
もちろん、クロス円通貨ペアでも逆相関関係になることはあり、クロス円とドルストレート通貨ペアが正相関関係になることもあります。
そのため、あらかじめ正相関関係や逆相関関係になりやすい通貨ペアや、相関関係になりにくい通貨ペアを把握しておくことも重要です。
逆相関関係の銘柄の両建て
逆相関関係の銘柄をそれぞれ売りと買いで両建てすることで、大きな利益が狙えるとともに、リスクヘッジにもつながります。
本来の両建ての意味とは少し違うのですが、効果的です。
上のチャートは、ドル円のチャートにCFD銘柄のゴールド(XAUUSD)の相関係数とラインチャートを重ねて表示させたものです。
逆相関関係が非常に強いのがわかります。
このような銘柄同士では、それぞれ売りと買いのポジションを持つことで、より大きな利益を狙えます。
また、どちらか一方を本命としてポジションサイズを大きくし、もう一方はリスクヘッジ目的でポジションサイズを調整するといったように、リスクヘッジを十分考慮したトレードも可能です。
為替相場は要人発言とかで大きく動いたりしますからね。リスクヘッジは大事です。
このように、逆相関関係の銘柄同士では、逆に動くからこそのトレードプランの策定が可能になります。
知っておきたい相関関係が強い銘柄
相関係数は非常に便利なインジケーターですが、それ以前にもともと相関関係が強い銘柄をあらかじめ知っておくことも重要です。
ここでは比較的相関関係が強い銘柄同士のペアを、クロス円通貨ペアを中心にいくつかご紹介していきます。
風が吹けば桶屋が儲かるではないですけど、不思議と値動きが連動する銘柄ってありますからね。
ユーロドルとドル円:逆相関関係
取引量としては、世界1位と2位の関係であるユーロドル(EURUSD)とドル円(USDJPY)ですが、その関係は逆相関関係になりやすい傾向があります。
つまり、対ドルで円高局面の際は、ユーロドルは上昇することが多く、円安局面ではその逆ということになります。
世界的に最も取引されている通貨ペア同士の関係は覚えておきたいですね。
ゴールドとドル円:逆相関関係
ゴールド(XAUUSD)とドル円(USDJPY)は逆相関関係になりやすいペアです。
これはゴールドと円がともにリスク回避資産としての側面を持つからです。
安全資産という意味で「有事の金」「有事の円」なんて言われ方もされていました。
したがって、ゴールドが上昇すると円も上昇し、ドル円のチャート的には下落することになるので、逆相関関係になりやすい傾向があります。
日経平均とドル円:正相関関係
日本の株価指数である日経平均(Nikkei225)とドル円(USDJPY)は強い正相関関係になりやすい傾向があります。
これは、円の価値が下がると日本の輸出企業の業績が上がり、円の価値が上がるとその逆となって、日経平均を押し下げる要因となるからです。
そのため、ドル円のチャート的には日経平均と同じ動き、つまり正相関関係になりやすいということになります。
ユーロ円とポンド円:正相関関係
ユーロ円(EURJPY)とポンド円(GBPJPY)は共にクロス円通貨ペアであり、また共にユーロ圏の通貨であることから正相関関係になりやすい傾向があります。
同様にドルストレートペアである、ユーロドル(EURUSD)とポンドドル(GBPJPY)も正相関関係になりやすい傾向があります。
なお、ユーロ円とポンド円は、上のチャートのように強い正相関関係になりやすい通貨ペア同士ですが、ボラティリティとしてはポンド円の方が高い傾向にあるので注意しましょう。
豪ドル円とニュージーランド円:正相関関係
豪ドル円(AUDJPY)とニュージランド円(NZDUSD)は正相関関係になりやすい通貨ペア同士です。
ともにオセアニア地域の通貨ペアであり、資源国通貨であり、貿易面で中国との関わり合いが深いなどの共通点が多くあり、強い正相関関係になりやすい傾向があります。
それはドルストレート通貨ペアのAUDUSD、NZDUSDのペアでも同様です。
逆に言うと、逆相関関係にはなりにくいペア同士と言えるでしょう。
TradingViewの相関係数の注意点
TradingViewの相関係数をトレードや環境認識に利用する際の注意点は以下の通りです。
- 相関関係は常に変化する
- 相関係数はあくまでも方向性を示すもの
- 短期よりも長期の環境認識向き
相関係数は、過去の値動きに基づいて計算されます。
そのため、各国の金利政策の変化や経済指標、要人発言や地政学的リスクといった要因で大きく変化するものです。
したがって、それまで相関関係が強かった銘柄同士でも、ファンダメンタルズの変化によって相関係数は大きく変わるので注意しましょう。
相関係数は、将来を予測するというより、今現在の関係を表すインジケーターですね。
また、相関係数はあくまで銘柄同士の方向性を示すものであり、ボラティリティや変化スピードを示すものではありません。
例え、相関関係が1.0に近い数値であったとして、一方の銘柄が5%の価格の上昇を見せたとしても、もう一方の銘柄が5%上昇するとは限りません。
そのため、スキャルピングなどの短期トレードに利用するというよりも、デイトレードやスイングトレードなどの中長期の環境認識向きのインジケーターになります。
TradingViewの相関係数まとめ
ここまで見てきて、TradingViewでは簡単に相関係数を分析できることがわかりました。
TradingViewの相関係数は、FX通貨ペアに限らず、あらゆる銘柄との相関関係を確認できます。
仮想通貨との相関係数も分析できますよ。
昨今の為替相場の動向には、ビットコインやイーサリアムをはじめとする仮想通貨の値動きも大きく関係してくるので、相関係数はますます重要な役割を果たすと言えるでしょう。
ぜひ、TradingViewの相関係数を環境認識やトレードプランを立てる際に利用してみてください。