TradingViewで移動平均乖離率を使う方法を知りたい。
移動平均乖離率を使ったオススメのトレード手法も知りたいな。
そもそも移動平均乖離率って何?
本記事はこのような疑問に答えていきます。
全世界に1550万人以上の利用者がいるTradingViewは、利用できるインジケータの数が圧倒的に多いことも人気の理由のひとつです。
TradingViewには、デフォルトのインジケーターだけで100種類以上、「コミュニティスクリプト」で公開されているユーザー考案のインジケーターも含めると、その数は10万種類以上にのぼります。
もちろん、今回取り上げる移動平均乖離率もありますよ。
移動平均乖離率は、価格が移動平均線とどれくらい離れているのかを示してくれる便利な指標です。
実際のトレードに利用されている方も多いのではないでしょうか?
そこでここではTradingViewで移動平均乖離率を表示させる方法や使い方、おすすめのトレード手法について詳しく解説していきます。
- TradingViewで移動平均乖離率を使う方法
- そもそも移動平均乖離率とは?
- TradingViewの移動平均乖離率を使ったおすすめのトレード手法
TradingViewで移動平均乖離率を使う方法
TradingViewで移動平均乖離率を使うのにおすすめな方法は、以下のインジケーターを表示させることです。
- Moving average deviation rate
- エンベロープ
詳しく解説していきます。
コミュニティスクリプトから「Moving average deviation rate」を表示
「Moving average deviation rate」は、価格と移動平均線との乖離率を視覚的にもわかりやすく示すインジケーターです。
まずはTradingViewのチャート画面から「インジケーター」をクリックしましょう。
検索窓に「Moving average deviation rate」と入力すると、いくつかのインジケーターが表示されますので、一番上の「Moving average deviation rate」を選択してください。
「Moving average deviation rate」はデフォルトのインジケーターではありません.。
そのため「Moving average deviation rate」と打ち込まないと表示されませんので注意しましょう。
チャートの下にインジケーターが表示されます。
赤いラインが移動平均乖離率を表し、緑のバンドはボリンジャーバンドの標準偏差2σになります。
デフォルトの移動平均線は21日に設定されていますが、「設定」から変更可能です。
そのほか、インジケーターの色なども設定から変更できます。
TradingViewには、Webブラウザ・デスクトップアプリ・スマートフォンアプリとありますが、チャートを保存すると全てのチャートが100%同期するので、それぞれのチャートで同じインジケーターが表示されることになります。
デフォルトインジケーター「エンベロープ」を表示
エンベロープは、2本のバンドによって価格と移動平均線との乖離幅がひと目で確認できるインジケーターです。
エンベロープはTradingViewのデフォルトのインジケーターになるので、表示させるには「インジケーター」から進み、一覧から「Envelope(エンベロープ)」を選択しましょう。
検索窓に「Envelope」と入力しても出てきます。
移動平均線を挟む形で上下に2本のバンドが表示されているのがわかります。
バンド幅や移動平均線の期間・種類は「設定」から変更可能です。
変更できる項目は以下の通り。
- 時間足:どの時間足でエンベロープを表示させるかを選択(デフォルトは「チャート」で、表示中の時間足チャートに自動で表示)
- 期間:移動平均線の期間
- Percent:バンドと移動平均線の乖離幅をパーセンテージで設定(デフォルトは10%)
- ソース:移動平均線を算出するもとの価格(デフォルトは「終値」)
- Exponential:移動平均線を「単純移動平均線」にするか「指数平滑移動平均線」にするかの選択(チェックを入れると「指数平滑移動平均線」)
特に③Percentは必ず調整してください。使用するチャートの時間足にもよりますが、デフォルトの10%ではバンド幅が少し広い感じです。
このほか、移動平均線やバンドの色も変更可能です。
その他の移動平均乖離率を示すインジケーター
先にあげた2つのインジケーター以外にも、TradingViewのコミュニティスクリプト内には移動平均乖離率を示すインジケーターがいくつかあります。
主なものは次の3つです。
- Moving Average Deviation
- Triple Envelope
- Envelope(pips)
①がMoving average deviation rateと同様、乖離率そのものを表示するインジケーターで、②と③はエンベロープの改良版インジケーターです。
インジケーターの検索窓にそれぞれインジケーター名を打ち込むと表示させられます。
Moving Average Deviationは移動平均乖離率をヒストグラムで表示したインジケーターになります。
Triple Envelopeはバンドを上下に3本表示できるエンベロープです。
バンド幅はそれぞれ設定できます。
Envelope(pips)はバンド幅をpipsで設定できるエンベロープです。
上下2本のバンド幅を1pips単位で設定できます。
おすすめは先にあげた「Moving average deviation rate」と「エンベロープ」ですが、どれか気になるものがあった場合は試してみてください。
そもそも移動平均乖離率とは?
ここではこれまで移動平均乖離率に触れたことがない方向けに、移動平均乖離率とはどのようなものなのかを解説します。
移動平均乖離率の基本的な解説になるので、知ってるよという方は次の「TradingViewでの移動平均線からの乖離率を使ったおすすめトレード手法」まで進んでください。
移動平均乖離率の計算方法
移動平均乖離率の計算式は以下の通りです。
(現在の価格−移動平均値)÷移動平均値
移動平均乖離率を示すインジケーターではこのように移動平均線と価格の乖離率を計算します。
ちなみにエンベロープのバンドの計算式は以下の通りです。
- 上のライン=移動平均線値 ✕(1+乖離率)
- 下のライン=移動平均線値 ✕(1−乖離率)
エンベロープのバンド幅はあくまでも価格と移動平均線がどれだけ乖離しているかを測る目安であり、乖離率そのものを表すものではありませんので注意しましょう。
移動平均乖離率のメリットとデメリット
移動平均乖離率の最大のメリットは、トレンドの転換点や反発ポイントを見つけやすい点です。
乖離率が大きくなればなるほどいわゆる異常値と捉えることができ、そろそろトレンド転換するといった判断が可能になります。
また、レンジ相場においても乖離率が大きくなると反発のサインとして使えるため、エントリーポイントを確定しやすくなります。
デメリットは、強すぎるトレンド発生時には移動平均乖離率が機能しない場合があることです。
強いトレンド発生時は、価格が移動平均線を大きく乖離したまま上昇・下落を続けるので、乖離率を利益確定や損切りの目安に利用できても、エントリータイミングを計るのには向きませんので注意しましょう。
移動平均乖離率と相性が良いトレードスタイル
移動平均乖離率と相性が良いのは、短期の逆張りです。
価格が移動平均線に戻ってくる性質を利用し、移動平均乖離率でエントリータイミングを計ります。
基本的に逆張りのエントリーになるので、リスクを抑える意味でも短期足でのトレードがおすすめです。
一般的には乖離率が±2〜3%で売られすぎ・買われすぎとされるので、エントリーのひとつの目安となります。
また、トレンド発生時の押し目・戻りを狙うのにも移動平均乖離率は役立ちます。
押し目・戻りの形成中は、長期的なトレンドとは逆の動きになるので、短期的には逆張りのエントリーになり、移動平均乖離率がエントリーの目安になります。
TradingViewでの移動平均線からの乖離率を使ったおすすめトレード手法
ここからは、TradingViewで移動平均乖離率を示すインジケーター「Moving average deviation rate」と「エンベロープ」を使ったトレード手法について解説していきます。
Moving average deviation rateの標準偏差を用いた逆張り
Moving average deviation rateが他の移動平均乖離率を示すインジケーターと違うのが、標準偏差の2σが表示されている点です。
いわば、移動平均乖離率とボリンジャーバンドを合わせたようなインジケーターなので、その特性をトレードに活かします。
上のチャートのように急激に乖離率が広がった局面で、標準偏差と重なった所が絶好のエントリーポイントになります。
ちなみに標準偏差内に価格が収まる確率は以下の通りです。
- ±2σの範囲に収まる確率約95.4%
- ±3σの範囲に収まる確率約99.7%
この標準偏差の特性と、移動平均乖離率を用いることによって確実性の高いトレードができます。
レンジ相場でのエンベロープを用いた逆張り
レンジ相場では、エンベロープの上下のバンドを用いた逆張りが効果的です。
上のチャートでは、エンベロープの上下のバンドとローソク足が重なった所が絶好の逆張りポイントになっているのがわかります。
なお、エンベロープ自体が移動平均乖離率そのものを示すインジケーターではないため、実際のトレードで使用する際に重要になるのが上下のバンド幅の設定です。
バンド幅は時間足ごとに設定を変えるのがおすすめで、目安は以下の通りになります。
時間足 | 乖離率(%) |
---|---|
15分~1時間足 | 0.05~0.40 |
4時間足~日足 | 0.60~2.0 |
【最強】「Moving average deviation rate」と「エンベロープ」を組み合わせた逆張り
「Moving average deviation rate」と「エンベロープ」を同時にチャートに表示させることで、よりエントリーポイントが明確になります。
エンベロープのバンド幅の設定次第では、エントリーポイントをつかめないこともありますが、移動平均乖離率と標準偏差を表示させることで確実にトレードチャンスをものにできます。
また、Moving average deviation rateはエントリー用、エンベロープは利益確定用といった具合に使い分けるのもおすすめです。
「Moving average deviation rate」と「エンベロープ」に限らず、インジケーターは併用することでさらに信用度が上がったりしますからね。
TradingViewの移動平均乖離率に関するよくある質問
ここからはTradingViewの移動平均乖離率に関するよくある質問に答えていきます。何かわからないことがあった際の参考にしてみてください。
TradingViewで移動平均乖離率と検索しても何も表示されないのですが…
TradingViewには、デフォルトで移動平均乖離率というインジケーターはありません。
そのため、移動平均乖離率を表示させたい場合は「Moving average deviation rate」と入力するか、移動平均線との乖離幅を表示する「エンベロープ」を選択・入力してみてください。
TradingViewでは移動平均乖離率でスクリーニングできますか?
移動平均乖離率でのスクリーニングはできません。
TradingViewには、一定の条件のもとに銘柄を抽出してくれるスクリーニング機能がありますが、移動平均乖離率を条件にしたスクリーニングはできない仕様になっています。
TradingViewの有料版では移動平均乖離率のインジケーターもグレードアップしますか?
TradingViewの有料版は、表示できる画面が増えたり広告が表示されなくなりますが、新たな移動平均乖離率のインジケーターが増えたりはしません。
ただし、1画面に同時に表示できるインジケーターの数は、無料版が3つまでなのに対し、有料版では5〜25個同時に表示できるので、複数の移動平均乖離率に関するインジケーターの表示が可能です。
ボリンジャーバンドでは移動平均乖離率を表示できませんか?
ボリンジャーバンドは、移動平均線と標準偏差で構成される、トレンド系のインジケーターです。
統計学をもとに、価格がこの中で推移するであろうとする標準偏差を表示し、トレンドが発生する度に収束と拡散を繰り返します。
そのため、移動平均乖離率を示すものではありませんので注意しましょう。
「Moving average deviation rate」のPineコードが知りたい
TradingViewのチャート上に「Moving average deviation rate」を表示すると確認できます。
「詳細」→「ソースコード」と進むとPineコードが表示されます。
TradingViewの移動平均乖離率まとめ
移動平均線は世界中の多くのトレーダーが使用するインジケーターです。
そのため、移動平均線と価格の乖離を示す移動平均乖離率は、実際のトレードにも有効活用できます。
TradingViewでは複数の移動平均乖離率を示すインジケーターがありますが、おすすめなのは「Moving average deviation rate」と「エンベロープ」です。
ぜひ、移動平均乖離率を上手に活用して、トレードを重ねていきましょう。